5月3日出産予定だった乳牛「タカノウ ビーエス ビバリー」号の出産から子牛の成長の様子を加茂小学校にテレビ会議システムで流し、加茂小学校の総合学習の教材としてもらうこととしました。そして、もし、生まれた牛がメス牛ならば乳牛として高農に残るので、小学生と高校生が相談しながら自分たちの思いを込めた子牛の名前をつけることになりました。しかし、もし、オス牛なら約1週間でオス牛飼育農家に出荷されてしまいます。この場合には、このテレビ会議の取り組みもあえなく出産後1週間で終了となることとなります。
高松農業高校畜産科学科 大家畜(牛)専攻生は5月のゴールデンウィークも返上してビバリーの出産を今か今かと待ち続けました。この間、出産の兆候が現れると牛舎のビバリーの前に干し草を引き泊まり込んで世話をしました。出産を待つ間、「出産予定日を過ぎるとだいたいがオスが産まれる」という先生の言葉がいつも頭の隅にありました。時々、メスが産まれてきますようにと願い、ビバリーのおなかに耳を当てて「早くでておいで」と声を掛けたりもしました。そうすると、「元気だよ」ということを子牛自身おなかから蹴って伝えてくれました。それだけがただひたすら待っている私たちを安心させてくれる子牛からのメッセージでした。
高農側では、高価なテレビ会議専用機を牛舎に持ち込み朝から夕方までつなぎっぱなしにしました。
加茂小学校では、ビバリーの出産の兆候が徐々に見られるようになった5月9日朝からテレビ会議システムでビバリーの様子の観察が始まりました。朝7時半から夕方6時過ぎまで多目的ホールに設置されたスクリーンに映し出されるビバリーの様子を休憩時間になると三々五々集まり様子を見続けました。
5月9日TV会議1日目(朝から夕方までずっとTV会議でつなぎっぱなし) | |
最初は、加茂小学校が学校インターネット2の学校であり、配布された機械の関係から高農からの一方的な画像と音声の送信になりました。加茂小学校側では高農の牛の様子と声は聞こえますが、高農側には加茂小学校の様子は一切届きませんでした。従って、加茂小学校の子どもたちが何か質問がある場合には、携帯電話で高農の先生や生徒に質問を行いました。掲示板も作成し、高校生はビバリーの詳しい様子を書き込んだり、加茂小学校の子どもたちの質問を加茂小学校側で書き込んだりして交流を補足していきました。
加茂小学校の子どもたちは、高農から送られてくる牛の画像や牛の大きさに圧倒されてしまいました。しかし、時間とともに、大型スクリーンが200km離れた牛舎に開かれた窓になり、いつしか、加茂小学校の校内の一つの風景として自然な形でとけ込んでいきました。
5月10日TV会議2日目(朝から夕方までずっとTV会議でつなぎっぱなし) | ||
ここに来るといつも牛さんに会えるよ。 |