再構築でロジカルな『思考スキル』を 

生きる力とは「考える力」だ。いま一番必要なのは、この「考える力」だ。ポートフォリオを活かすことで『ロジカルな思考スキル/考える力』を身につけることができる。

  1.「元ポートフォリオ」から「凝縮ポートフォリオ」へ 

ポートフォリオは、ただ何かを集めて入れて終わるファイルではりません。それは必要に応じ活かすことが前提にあるもの。ではそのためにはどうしたらいいのでしょうか。まずは学習プロセスから生まれるすべてのものをクリアファイルなどに時系列で入れます。これを「元ポートフォリオ」といいます。最後に自分のテーマに添いそれをギュっとまとめ『再構築』します。これが「凝縮ポートフォリオ」です。

すべての学習

プロセス
} 再構築
} テーマ
根拠
結論

 重要ポイント★ 

 情報の収集と選択を同時にしてはならない!これはロジカルな「思考スキル」のセオリー。

 まずすべてを「元ポートフォリオ」に集め、そのあと「情報の取捨選択」をする。


 2. 『再構築』とは? 

再構築とは、一人ひとりがこれまでの自分の学習プロセスがすべて入っている「元ポートフォリオ」を俯瞰し自分独自のテーマを持ちその裏付けとなる根拠や証拠を見出し、ロジカルに理路整然と組み立て直す「知的な活動」をいいます。「凝縮ポートフォリオ」は、これまでやったことの「まとめ」でも「絵日記」でもないのです。それは納得する理由や論拠を添えられ、読んだ人に思わず「なるほど…」「そうか役に立った!」と言わせ、読み手の意識や行動を変え得る力さえ持ちます。つまり再構築することにより、本質的な知がロジカルに凝縮されたポートフォリオは、まるで教科書や教材とも言える普遍的な存在に昇華するわけです。

 3.「再構築」の方法 

どう「再構築」をしたらいいか、それは次のような自分との対話が鍵となります。

ロジカルな思考を
導き出す「問い」
1) 「一番伝えたいという『テーマ』はなに?」

2) 「それはなぜ? その現状は?『根拠』は?」

3) 「それで『結論』はなに?どうしたらいいの?」

ここで大事なことは、まず目標=『テーマ』を明確にするということです。それがなくてはすべては始まりません。まずは『テーマ』を"紙に書く"。それを拠り所にしながら、その『根拠』となる情報をポートフォリオから探していくのです。これが重要な手順です。"ひとつひとつ" "論理的に" "区切って" 問いかけていくことが、ロジカルな思考を導くときの秘訣です。

ロジカルに再構築した凝縮ポートフォリオのレイアウト例

 『テーマ』
○○を○○しよう
なぜならば
 『根拠・理由』
  ・現状・分析
  ・情報・比較
  ・課題発見
  ・課題解決
 『結論』
(具体的提案)
〜行動・意識〜
だから

 4.「再構築」で身につく『思考スキル』 

 大切なのは、「再構築すること」やその「手順を知る」ことではありません。「考える力がつくこと」です。「再構築」するために自分の元ポートフォリオを何度もパラパラとめくり、一番自分が重要とおもうこと、本質的なことを探します。よりすぐった「情報」や「知識」を論理的に組み立てることで筋道だった思考の展開を悟ります。ここでロジカルな思考スキルを身につけます。

「考える」とは、頭の中の情報と情報を結びつけ求める結論や答えを生む働き。「考える力」とはパワーでなく、知識や情報を活かせるロジカルな思考ができることなのです。そのためにこれまでの知のプロセスが入っているポートフォリオを「俯瞰」することが有効なのです。


参考:鈴木敏恵著『こうだったのか!ポートフォリオ〜思考スキルと評価手法〜』学研